逆説が生まれる場所・・・
絵に描いた餅にしないために・・・というセリフは、以前、BSCの講演をするときに、よく使わせてもらった。戦略の失敗は、計画を「実行する段階」でまさに起きる・・だから、実行がしやすい仕組みとプロセスが必要だ・・・といった文脈である。
本書も、戦略を死の谷から救うために何が必要かどいうことを論じている。たたし、BSC(バランススコアカード)とは異なる視点からである。
BSCにしても、ポーターの競争戦略にしろ、ボスコンのPPMにしろ、それを提唱した人の頭にあった暗黙の前提と、使ってみようとする経営者の前提は微妙にずれることがある。だから、ネライ通りにいかない逆説(パラドックス)が生まれるのだという。
逆説とはたとえば
分析を積み重ねても本来のコンテキストを発見できない
ポジショニングしても利益をわかちあえない
戦略の上意下達のみでは実現しない
経営陣は合理的判断者だとみなすと機械損失を招く
などなど。そして、その処方箋も提唱する。
一番印象に残るのは、戦略立案をするときに、戦略オプションを複数つくる組織を通常組織とは別立てで作ろう・・という提案だ。
日本企業の最大の問題点は、経営会議などで検討する段階で、案が一つに 絞り込まれており、将来に予測される重要な変化に対応した戦略オプション を十分比較検討していないことである。
という。まったく同感。
一つの承認案に対し、問題点を指摘し、修正を指示するだけ
という悲しい現実がある。まったく別組織で検討した案と比較してみる・・なんてできたらいいねー。
異なる視点で考えてみよう・・といっても、一人ではなかなかできない。しかし、凡人も何人か集まれば、また啓けるものがある。
組織においても、企画部なり本社機能のある部署だけで戦略を策定するのではなく、異なるチームを別立てでつくるのがいい。
いっちょ、やりますかね。そういうのを。
★★★★+パラドックス
・戦略をモノにしたい方
・実行可能な戦略を作りたい方
・実のある仕事をしたい方