人の心は・・・
ある小学校へ新任の女先生がやってきた。なにやらちょっと緊張が走る教室。いったいこの物語は・・・。最後の授業みたいな雰囲気だ・・・。状況説明とか背景とかをあえて説明せず、進んでいく物語。読み終えると、この「奇跡」が何を示すのかがわかる。そんなお話。
戦争が終わり、思想を変えるためにやってきた“素敵な女教師”。押し付けがましいところはない、なんだか正直そうだ、キャンディもくれる・・・、素敵な香りもする・・・。
はじめは身構えていた生徒たちもやがて・・・・すっかり新しい先生を好きになって信じている。
新しい先生は、最後に心の中でつぶやく。「これで子供たちはあたしのいうことをきくようになり、立派な市民となっていくだろう」そして、すべての子供たち、すべての男女たちが、同じ信念をもって、同じような手順のものもとに教育されていることを思うと胸が熱くなるのだった。
この時間が、わずか23分。
読む人によっていろんな問題を提起してくれる物語だ。学校で読んだ「最後の授業」の続編的な物語。
日本でも、終戦直後の変化はこれに似ている。鬼畜米英、一億玉砕・・・と過激だった雰囲気が、戦争が終わってやってきた進駐軍に「ギブミーチョコレート」と手を差し伸べ、スミで黒塗りにされた教科書で学んだ時期があった。すっかり気分も180度反転していった。
こんな世界がこの本の物語に表現されている。
ちょっと恐ろしいような・・・
操作主義。そういうものは、忌み嫌うべきだが、それと紙一重で、また異なる世界もある。共感と共鳴の世界だ。
企業が行う社員教育は、その微妙な線上にあるのかもしれない・・・。
★★★★+操作主義
・物語を作るのが好きな方
・お話をしたい方
・思想について考えたい方