年を重ねてこそ・・・っていいねー。
「アンチエイジング」とか「加齢対策」とか、この頃、食材、化粧品、ゲーム機などでよく使われる言葉がある。そこには、年をとることは、全てにおいていいことはなく、「年をとってもできるだけ身体や脳の機能が落ちないようにしよう」という文脈がある。
しかし、最近の脳の研究では、どうやら私達が常識と思っていたもの、つまり上手に年をとるには、心身の衰えをなんとかしてくいとめるしかない、という考えは、どうやら間違っている!らしい。
本書では、歴史にのこる著名な人(フロイトの有名な論文は65を過ぎてからだった・・・、ダーウィンの種の起源は55歳で出版された・・)や、年をとってから大きくはばたいた一般の人の活躍が紹介されている。そして、どうやら、「年をとっても」ではなく、「年をとったからこそ」という文脈で語った方がよいことがわかってきたのだ。
社会負担の増加など、高齢化社会の影の部分がかまびすしく喧伝されるこの頃、こうした元気のでる研究はうれしい。
脳の研究はだいぶ進んできたが、まだまだ間違った常識があるという。例えば
x 脳が新しい神経細胞を生成することはない。
x 年長者の脳には、若年者と同等の学習能力はない。
x 神経細胞の結びつきは、生涯、相対的に固定されている。
これらは、みーんな間違い! 最近の研究では、脳は年齢を重ねても新たに脳細胞を結合し新たな記憶を作るばかりでなく、まること新しい細胞も生成するのだという。ぉおー!
そして間違った常識を打ち崩すためにも、元気で創造的な諸先輩がいっぱいいる社会になってほしい。そのためには、人とのつながり、継続することの大切さ、恩返しによる満足感・・などいくつかのヒントが書かれている。
これから、定年を迎える50代以上の方必読書!
定年、リタイアメントといったものは、現在、社会的にも心理学的にも見直され、再創造されているところだという。団塊の世代がバガっとリタイアする2007年問題等で植えつけられた間違った“常識”を抜け出し、高齢社会の正しい理解と生き方を認識すべきときのようだ。
これから定年を迎える方、しばらく先の方、ずっと先の方、そろそろ高齢社会のパラダイムを変えるときかも。
終わりではなく、始まりなんだ・・という思いこそ、大切かもしれない。
翻訳者の一人村田さんは、
加齢(エイジング)を「善」か「悪」かの二元論的思考で見るのではなく
「善」も「悪」も超えた弁証法的思考で捉えるべき
という。なるほど!
常識を超えた、すばらしい高齢社会をつくろうじゃぁありませんか、諸先輩!
★★★★★+年を重ねてこそ
・年寄りはキライダという方
・上手に年をとりたい方
・定年後も元気に活躍したい方