2006年11月07日

ウサギはなぜ嘘を許せないのか? ~ マリアン・M.ジェニングス + 内向き上向き後

   コンプライアンスを訳すと・・・?
   |ISBN:4776203561|980円|159P

書籍情報


ウサギはなぜ嘘を許せないのか?
マリアン・M・ジェニングス 山田 真哉 野津 智子
アスコム
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本のひらめき

SOX法だ、コンプライアンスだと世の中は騒がしい。正直であることや正しいことをこするのは当然だけど、そのためには、はしの上げ下げまで監視するのが当然みたいな空気はどうもいかがなものか。多分、最初の視点(始点)が間違っているんじゃないかと思う。つまり、形をそろえりゃいいんでしょ、とりあえず・・っていう“いつもの”やりかたがヘンなのではないか。

コンプライアンスってほんとはいいことなのに、何かしら堅苦しくって、小ざかしい雰囲気を感じてしまう。それを何とかできないか・・・というのが本書の思いである。

この本は、普通の人間には見えないアリという大ウサギ(身長190cm)とアリにつきまおとわれながら正直に生きたエド・ベンチャリーの物語だ。エドの友達、ジョン、トーマス、ヘレン。この4人が正直な生き方と不誠実な生き方をして明暗を分ける。学生時代のカンニング、会社内の不正経理、インサイダー取引、不良商品の製造などさまさまな場面が展開する。

ウソをついたことがない人はいないと同じように、組織になるとますます誠実とか正直という規範は維持しにくくなる。選択を前にどうするか・・・その心構えをこの物語は教えてくれる。

なかなか面白いストーリーである。2時間のコンプライアンス説明会なんかを開くより、この本を読んで感想を語り合う場を設けるほうがよほどいい・・・かも。

業務監査質の方、必読書。


僕の思いつき

過日、田中靖浩さん(会計士)、志の吉さん(落語家)、英一郎さん(歌手)とう不思議なトリオの公演会に参加した。素晴らしい内容だった。そのテーマが、なんと「コンプライアンス」。

米国でおきた大企業の不正事件に端を発し、会計監査企業も怪しい・・ってことになる。やがてSOX法なる法律ができ、どうやら日本も知らん振りできなくなってきた。そんな中、コンプライアンス強化のためにコンサルタントや会計士さんたちの支援を得ながら、各企業はコンプライアンス強化の制度や仕組みを導入している。しかし、なんかヘン。規則やルールを決めて周知徹底致しましたなんてやるより、もっと違うことを考えたほうがいいのではないか・・・てなことを、この日の公演を聴いて思った。

田中さんは冒頭の講義の中で

  世の中は、法律/慣習/道徳 の中で動いている。これが左のほうへ
  振れすぎると、ガチガチ、ギスギスになる。ほんとはそうじゃないん
  じゃないでしょうか・・。日本には昔から、もっと素晴らしい何かが
  あったのではないでしょうか。

と問いかけた。講義、落語、歌という異なるジャンルを通じ、見えない何かを見た人は多かった。それは、今日の本にでてくるウサギのようなものかもしれない。あの日の公演は・・・いま思い出してもスゴかった。

今日の本を読んで、ふとまた、あの日を思い出した。また、聞きたいな!



オススメ度

★★★★★+正直者はバカを見ない

読んで欲しい方

・誠実にいきたい方
・正直な仕事をしたい方
・誇れる仕事をしたい方

Posted by webook at 2006年11月07日 11:06 | TrackBack