遊べる田んぼ
僕は田舎育ち。子どもの頃は、田んぼのレンゲ草の上を転げまわった。
田植えの時期には泥だんごを食べたし(うそ)、稲刈り後の落穂広いも楽しかった。いつのまにか、田んぼは四角く整地され、農薬と機械が幅を利かすようになった。農薬散布のときは、息を止めたくなるほどだ。
たぶん日本中そなんな感じなんだろう。
本書は、機械化、工業化が進んでしまった日本の農業を見直し、持続可能な農の道があるのではないか・・・という問いかけと、それを実践している人たちのドキュメンタリーである。
「地球は今、生物の歴史始って以来の“喪失の時代”を迎えている」という。
環境破壊、種の絶滅・・、物欲的な豊かさという幻想は、知らない間に地球という生態系システムを蝕んでいる。
日本の農業は、数千年という歴史の中でいとなまれてきた持続可能な農の道を歩んできたが、戦後の工業化の嵐の中でゆがんだものになってきたらしい。
自然と共生し、穏やかな循環をする「持続可能な農業」の試みは、各地で試みられている。
豊岡市の「コウノトリを育む農業」や、NECの従業員が取り組む霞ヶ浦の谷津田復田の事例など、いくつかの取り組みが紹介されている。
実は国家的にも「生物多様性戦略」といったものが策定されていたりする。一般にはなかなか知られていない。
各地の実践記録とともに世界の動き、日本の動きなども知ることができる。
わが地球、わが農業を見つめるために、参考になる一冊。
日本の稲作は、実はすごい誇らしいものらしい。2千年もの長きにわたり、同じ場所で同じ作物を作リ続けるのはすごいことなのだ。多様な生物の生息をもたらし、日本人の主食を提供しつづけてきた日本の農業。これは、持続可能性(サステイナビリティ)の模範ともいえるようだ。ただし、これは古きよき田舎の農業の話。農薬や化学肥料をバンバン投入するような近代農業とは違う。
日本のたんぼと畑には、単位面積あたり世界一大量に農薬が散布されているという。米・カナダの数倍の量である。げげげ。
カルガモを利用した田んぼづくりとか、コウノトリを育む農業とか・・・様々な取り組みを知ることは大切かもしれない。
あたり前に食べている食材の源流を見つめることも大事だね。
★★★★+人と生き物にやさしい農業
・地球に優しくしたい方
・農業に転職したい方
・環境にいいことをしたい方