やり方次第で・・・
著者は、シティバンク(銀行)、フィデリティ投信(投資信託)、チューリヒ(保険)の3つの業態、しかも外資で働くというめずらしいキャリアを持っている。ただ働いただけではなくいずれも新しいビジネスを立ち上げて成功させるという貴重な体験をしている方である。
本書は、そんな著者の体験をベースにして、金融マーケティングの世界を面白く解説している。
シティバンクは、いち早くATM手数料を無料化した。まだ日本の中でリテイルビジネスのポジションを確保する前、おおきなインパクトがあったという。実は、その背後にはシティバンクの場合、ATMで預金を下ろす人がとても少ないという状況があり、コスト的にはほとんど影響がない・・ということだったらしい。
そのときどきのマーケットニーズや、社内事情などをうまく組み合わせ、とてもユニークなビジネスを展開してきた様子は、非常に興味をそそる。
新聞の折込で目立たせる方法、キャンペーンの集中と徹底など、なるほどーという事例に、いくつかひらめくものがあった。
読み物的にも楽しい。
瀕死の状態だった東京相和銀行。99年に破綻し、東京スター銀行として再スタートした直後に、著者は転職して入社。3年後に再上場を果たす原動力になった。そこで得た教訓をこう語る。
たとえ瀕死の状態だったとしても、マーケティング戦略次第では
結果を出そうと思えば、出せるのである。
そうそう、そういうコトを作る必要がある会社多いよね。この本、そういう意味でヒントになることがいっぱいある。
★★★★+マーケティング戦略次第
・会社を元気にしたい方
・事業の再生を果たしたい方
・楽しい仕事をしたい方