その進化の向こうにあるもの・・・
素晴らしい本が出た。今年出た本の中でだんとつイチオシ。読みながらマインドマップをガシガシ書いてしまった。それがとても気持ちよく描けたのは、田坂さんの整然とした流れと深い内容に気持ちが弾んだからだろうか。
本書は、WEB2.0革命の深層を流れるものは何か、これから資本主義社会がどう変化していくのか、企業や商品やマネジメントはどう変わるのか、働き方はどう変わるのか・・・を、統合的、体系的、弁証法的に語りおこした本である。
田坂さんが、風の便りや、講演、著作などを通じ語ってこられたすべてのことが縦横の糸のように織り込まれている。
これまで田坂さんの本を読んだり、講演に参加したり、Podcastで聞いたりした方なら、たぶんこう感じると思う。
そういえばあのとき・・・
そして、そんな事物の理を復習するような納得感に加えて、さらにその先を見通す洞察の輝きに、驚きと希望と勇気をもらえると思う。
情報革命は、95年にインターネット革命として静かにはじまり、それはいま振り返ればWeb1.0革命とも呼ぶべきものだった。そして、ブロードバンド化したときがWeb1.5革命。さらに衆知の創発や共感の創発を生み出したWeb2.0革命が今ここにある。衆知の創発とは、たとえばWikiやLinuxのような世界である。また共感の創発は、「電車男」のような世界である。さらに、その先には、人、商品、空間を融合する
Web3.0革命がすでに扉を開けて待っている。
いくつかの進化のプロセスの過程は、技術だけでなはく、働き方、企業のあり方、商品の生まれ方など様々な要素の変化を包みこみながら進んでいるという。
本書は、ロングテール現象などを引き合いにWeb2.0革命といわれるネットの進化が、社会に与える真の意味を問うすごい内容がある。
特に、深い共感を抱いたのは「ボランタリー経済」の表出である。今、自分たちの周りでおきている“あの素敵な行為”は、いったいなんだろう?という僕の疑問がスッキリと晴れた。まるで、曇りガラスが透明になるような爽快感である。
大きな変換の波のなかで、企業のあり方、人の働き方、経済のあり方・・・様々なものが「進化」の過程を歩んでいる。
その流れを理解しつつ、未来を作る私たちの存在を意識できるところが、本書の素晴らしさの要素ではないだろうか・・・。
この本を読まずして、2007年を迎えてはなりませぬ。
先日、土井さん、藤井さんと僕で鼎談(THE21)があった。今年のベスト10冊を選んで推薦しあうという設定だった。ぼくは、ヒラメキ系、Moso系の本を選んで紹介した。
今思えば、しまったである。訂正記事を出したいところである。なぜなら、今日の本が、今年一番のオススメ本だから・・・。
今日は、100冊倶楽部の編集会議があった。そこは、まさに本書に書かれているネットとリアルの融合。ボランタリー経済の劇場。傍を楽にする労働感の現場。利益とはさらなる社会貢献をせよとの世の声という利益感の共鳴。そんな集まりだった。
素敵な仲間が生み出しているプロダクトはまさに「作品」。
それをコラボレーションで創り出そうとしている仲間は「アーティスト」。
そんな気がしてならない。
多少Mosoモードで自画自賛かもしれないけれど、この本の目線の先にある素敵なものと、今日の会議の雰囲気がとても近いものに思われて、帰りの電車の床には一しずくの涙がポトンと落ちた・・・。
今日はすべての人に、そして全てのデキゴトに、ありがとう・・・を贈りながら休むことにしよう。
★★★★★+生き方2★0
・この国に生まれてよかったと思いたい方
・Web2.0の深層を知りたい方
・新しい働き方のヒントを得たい方
こんにちは
田坂氏の本はどれを読んでも良い本ばかりですね。特にこの本は彼の集大成的な内容に仕上がっており、万人におススメです。
Posted by: 世田谷読書日記 at 2007年01月27日 14:31