目指すは成長プロデューサー!
人材の流動化が激しい時代になってきた。企業にいったん就職したら定年まで勤める・・・なんてのは、古き良き?時代のことだった。今は、3割の新卒は3年で辞めるという。10年たつと同期の9割がいない・・・なんて時代、企業は今までの人事パラダイムを大きくかえないといけない時代になってきた。
本書は、人が辞める時代の人事マネジメントについて、目からうろこの提言をしてくれる本である。
著者の森田さんの会社シェイクは、自立型人材育成をめざし、研修やコンサルテーションを行う会社だ。そのシェイクが行った「あなたはは仕事を通じて何を求めていますか」というアンケートによれば、よい給料というのが二番目で、一番めは、なんと「自分の成長や自己の価値を高めること」というものだったという。やっぱり、お金だけじゃなかったんだ!
多くの人が辞めたり転職したりする理由は、「最近の若者は論」や「ミスマッチ論」では整理できない深いものがあるのだ。
どうやら「成長」「実感」「期待」といったキーワードに現れる、もっと深い人生論的なところに端を発した「3年3割現象」だったのだ。
そこで企業や組織は、「成長プロデューサー」というマネジメントのスタイルこそが必要だという。自立型人材を育成するためのマネジャーは、管理や命令する人ではなく、仲間の成長を支援する役割を期待されている。
そのためにG・PDCAサイクル(ゴールとPDCA)とか、コマンド&コントロールの経営からネットワーク&コラボレーションモデルへの転換、サイバー・エージェントがやっているような「ジギョつく(事業を作る」などの社内起業の場作り・・・など具体的な提言あがある。
読み進むうちに、たぶんあなたは、本を置いてほかのことがしたくなる。うちの会社でもこういうことやりたいという企画書つくらなくっちゃモードになるからである。
示唆に富む内容がいっぱい。マネジャーの方、人事部の方、経営者の方、必読の本。
ある程度大きな企業になると、人材育成は人事部の仕事、社員の教育は研修部門の仕事、現場は上司が管理する・・・といった、一見合理的な役割分担ができあがる。
しかし・・・と森田さんはいう。終身雇用の時代ならそれもよかったかもしれないが、今は10年で9割が辞める時代。パラダイム転換が必要だという。
「個々の現場のマネジャーが自立型人材育成のミッションを自覚し、成長プロデューサーとしての役割をはたすべき」であり、人事部一極集中ではなく、多数の成長プロデューサー群が担うべき時代だという。
成長プロデューサーは、ミッションやビジョンを語る言霊を持ち、具体的で測れるターゲットを示す。コーチング的なフィードバックも行う・・。
もし、あなたが人事部でなくても、組織や会社の人事戦略を担うことができる・・そんな時代になったのかも。さっそく名刺に「成長プロデューサー」の肩書も刷り込んでおこう。
★★★★★+正直革命
・自律型の個人と組織にしたい方
・成長をキーワードにチームを運営したい方
・ワクワクの中で仕事をしたい方