ドラマをつくってみない?
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●今日の一冊:【脚本家】
ドラマを書くという仕事
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|中園 健司/著
|西日本新聞社|2006年12月
|ISBN: 4816707042|1,500円|237P
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<本のひらめき>
「対立」「葛藤」「相克」「障害」・・・・さてこれらは、何だろう?
いきなりクイズめくけれど、これはドラマの材料である。こういうものを乗り
越えて、どんな行動にでるか、そしてどんな局面が生まれるか・・というのが
ドラマだという。なるほど。たしかに全編いいことづくめだとなんだかドラマ
チックにならないねぇ。
ロミオとジュリエット、おしん、チャングム、最近でいば武士の一分など、た
しかにみんなそういう要素があってこその盛り上がりがあった。
考えてみれば、そんなものは実は人生の中で、ごろごろしているのに、なぜ人
はドラマや演劇をみたがるのだろうか?・・・
それは「カタルシス(ギリシア語)」のためだという。カタルシスとは、浄化、
純化、排泄といった意味で、要するに心の洗濯だということだ。なるほど。
脚本家は、そんな心の洗濯の台本を設計する仕事である。
本書は、脚本家の著者が、脚本を書くということはどういうことか、どんな
心の葛藤があるのか、生きがいは・・といったあたりを、自身の経験も披露
しながらエッセイ風に職業紹介をした本である。
脚本家になりたい・・という方には、絶好の本だ。
仕事の流れ、悩み、醍醐味などが分かりやすく書かれ、また興味をそそる筋
立てで展開する。
最後には、著者の作品シナリオや、シナリオ学校のリストなども掲載されて
いる。
テロップに脚本だれそれ・・・とでたら、その人がどんな気持ちで、どんな
相克にまみれながらこれを書いたのか、ちらっと想像してみるのも楽しい。
<僕の思いつき>
脚本家、シナリオライターは、自己完結できない特殊な仕事だという。たし
かに書いた後は、演出家や役者の味付けによって良くも悪くも変わっていく。
打ち合わせの段階で変更を余儀なくされることもある。
そんな悩みの中でも「作品のすべてを自分が支配していると妄想できる瞬間」
があるという。
脚本家をめざすひとには、赤裸々な告白もあってとっても参考になるのでは
ないだろうか。
脚本=設計図なら、事業計画=脚本とひっくりかえしてもいい。
会社でつくる事業計画や中期改革を脚本(シナリオ)として描く方法もいいね。
スープストックTOKYOは、まさにそんなふうにして生まれている。
さて、シナリオを書いてみますか、わが社でも。
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<オススメ度>
★★★★☆+いつか逢う街
<読んで欲しい方>
・シナリオライターになりたい方
・脚本家について知りたい方
・ドラマを書いてみたい方