一度は目にしてみたい本
学問のすすめといえは、あの有名なフレーズ「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり」の一文が浮かぶ。
そしてたいがいは、それでおしまい。
いったいあの本はどういう内容だったのか、続きはどんなことがあったのか・・・と疑問に思いつついまだ手にしたことがなかった。
ふと誰かの本にこの本のことが紹介されていて、読んでみた。
実は学問のすすめは、明治5年に第1編が出され、明治9年まで続編がだされた一連の論説集であった。明治13年にこれらを合本して一冊の本とされたらしい。そのときの序文には、第一編は20万冊を下らず・・とあり、明治の超ベストセラーだったようだ。合本の序文には、そのことがいささか自慢げに(?)書かれている。
学問のすすめ初編は、例の有名な一文から始まる。そして
されば天より人を生ずるには、万人は何人皆同じ位にして、生まれながら
貴賎上下の差別なく、万物の霊たる身と心との働きをもって天地の間にあ
るよろずの物を資り、もって衣食住の用を達し、自由自在、互いに人の妨げ
をなさずして、各々安楽にこの世を渡らし給うの趣意なり。・・・
と続く。文語調の固いリズムなれど、味わい深し・・・という感じだ。
続編の内容は、「国法の貴きを論ず」といった政府のあり方論から、「人の品行は高尚ならざるべからざるの論」「演説の法を勧むるの説」などさまざまなことが述べられている。
演説とは、英語にて「スピイチ」といい、大勢の人を会して・・・など、海外文献を紐解いたものなどもある。
内容はかなり論議を呼び、ひどい批判を寄せたり脅迫状を送りつけたりする人もいたようだ。
当時の解説によれば、どうやら最初から遠大な計画のもとに大作を著したというより、同郷の旧友に示さんがために書かれたものだという。文語体のかたい文章だから、すらすら読むわけにはいなかいが、こういうのを味わうのも、またよし・・・である。
知っているけど、見たことない。こういうのは、実は結構ある。地理でならった有名な土地もいってみると、また別の感慨がある。
歴史もその土地の遺跡や、展示品などを見るとまた違った印象をうける。
以前、終戦のときの天皇の詔の文章のコピーをみたときは、えらく興奮した覚があり、やはり、現物をみるというのはいいことだ。
そういう意味では、愉しみはまだまだたーくさんあるということで、これもまたうれしいことだ。
★★★★☆+現物のすすめ
・著名な本に接したい方
・福沢諭吉に接したい方
・ホンモノを覗きたい方