黙々と・・・
次に100冊倶楽部の本を出すとき(Vol.2)は、この本にしよう・・・なんて思った。
この本を読むのは2度目、そして紹介するのも2回目である。
何度読んでも、深く魂にとどくメッセージがある。静かに、淡々と、その高潔な物語は進むのだ。
お話は、南仏の荒れた土地にひたすらドングリを植え続けた一人の羊飼いの物語である。3年間に10万個の実を植え、そこから2万個の芽がでた。さらにその半分くらいはネズミやリスにかじられる。それでも男はドングリを植え続ける。
やがて、幾度かの戦争があり、時代が移り・・・・荒地だった土地に青々とした森が生まれる。たった一人の農夫の行いで・・・。
何度読んでも、静かな感動を覚える。この淡々とした、そして、深いものは、いったいなんなんだろう・・・
僕が子どものころ、おふくろさんが山へ木苗を植えにつれていってくれたことがあった。
「この木苗は、孫の時代にやっと役にたつのやで」
とさりげなくおふくろさんが言った。その言葉に、幼かった僕の心にはただ「へぇー、そんなものなのかー」という思いがうかんだ。それでも、心のどこかでなにか深遠なものも感じていたようにも思う。子どもには想像もつかないようなはるか未来のために、こんなことをやってるのか・・・・と、埋めきれない不思議なものを小さな胸で感じていたような・・・。
淡々と流れる長き時をへて、生まれるもの。そういうものっていいねー。
★★★★★+時の向こうに
・ゆったりとした時間がほしい方
・心に響く物語がすきな方
・地球にいいことをしたい方