矛盾ってすばらしい。
本書は、「学事ブックレット」という学校(小学校)の先生向けの本である。どうしてこの本を買ったかというと、著者の露木和男さんという素敵な先生を前々か尊敬していたこと、そして、タイトルの「矛盾をうまく取り入れて」というフレーズに妙に惹かれたである。
本書は、矛盾という状況を通じて、ものを考え授業をわくわくする工夫について様々な授業事例を交えながら解説している。
子供たちに、対象となる事象に興味を持ってもらうのだ第一。そのとき、子供たちは、ものごとに矛盾を見つけると興味の度合いはがぜん深まる。その発見がまず必要だ。
もとより自然の事象自体に「矛盾」はない。あるのは、人の認識と事象に間にある、と露木さん。露木さんが子供たちに提示する矛盾の対象は、心臓の弁だったり、空気でっぽうだったり、食塩水だったりする。
読み進むにつれ、子供の心に起きる不思議な感覚を体験できる。
子供たちに、答えを教え覚えさせるのではなく、「子どもと同じ目線で、子どもの思いに共鳴し共感していくセンスオブワンダーの心を持ちたい」という露木さんの教育の思想に触れることができる。
そして、さらに、ここに書かれていることが教育の現場だけでなく、ビジネスやほかの場面でも同じように考えられることに思い至る。
正、反、合というプロセスで、一度否定されることをくぐりぬけて止揚される弁証法がここにもある。
ちょっと、すごいブックレットである。
「成長とは見えないものが見えてくる体験である」と露木さんは言う。そのプロセスこそを大切にしたい。
生活やビジネスでも様々な矛盾や問題を止揚する中で私たちは、学び成長していくのかもしれない。
★★★★★+矛盾の中で・・
・教師になりたいと考えてる方
・矛盾にに興味ある方
・発見と感動のプロセスを楽しみたい方