天文学から気象学へ・・?
ライフハック。このごろ若いビジネスパーソンを中心に、この言葉が流行っている。なんだかカッコいい響きがある。それは、タイムマネジメントの方法だったり、情報処理の仕方だったり、仕事を効率的にこなすやりかただったり・・・いろいろある。僕は、○○を試しているんだ・・・なんていう同僚も多いことだろう。
で、本書。こうしたライフハックの道具箱の解説ではなく、その奥にある思想みたいなものを語っているのが素敵である。
「天文学」から「気象学」へ遷移している今、私たちには、ものごとに柔軟に対処できる工夫が必要だと説く。それは、ライフハックの道具箱をたくさん持つことよりライフハックのつくりかたに目覚めるということに繋がる。
こういうやり方を知っているという知識の問題ではなく、仕事も人生もどう対応すればいいのかという考え方の問題である。
さて、それは、ふたつのキーワード、「天文学」と「気象学」に象徴されている。前者は、いろんな情報や科学知識で何百年先の星の軌道も計算できる。つまり見通せる世界。一方、後者の気象学は、明日の天気すら正確に予測できない複雑な世界である。今までは、多少の誤差はあっても世の中の流れや、モノゴトの推移は、天文学のようにある程度予測ができたが、いまは、複雑な要素がからんで単純な常識が通じない世界になっている。つまり、気象学の世界。
だからこそ、それを乗り越えるライフハックスのつくりかた・考え方が重要と説いている。(なるほど!)
3つのルールがある。
1)フィードバックしてパターン認識する
2)情報受容体を増やす
3)アウトプットする空間をつくる
というもの。それらの中に、とっても心をゆさぶられる言葉がたくさんある。
例えば・・・情報受容体を持とうというところでは
矛盾を矛盾のまま存在させてしまうのが感情であり、
それをうまく取り扱うのが成熟した理性である。
キーワードを持つようになると、情報の受け取る量が劇的に増える。
また、アウトプットする空間をつくるのところでは
アウトプットが環境だとすれば、インプットは感性、
フィードバックは知性の営みということになる。
などなど、シビレる表現がいっぱい。
ライフハックのやり方を単に覚えるのではなく、その後ろにあるものを意識すること・・・その快感を覚えさせてくれる本である。
天文学と気象学の比喩は、ビジネス、生活いろんなところに当てはまる面白いメタファーである。すげー、こんな比喩を考えられるなんて・・・と思った。実は、これは、サイバネティックスを提唱したノーバート・ウィナーの考案だと紹介されている。うーむ、すごい。
こうしたメタファーは、なかなか面白いよね。
最初にちょっと不思議なメタファーを提示し、それはなぜなら・・・と展開すると、読み手はむくむくと好奇心を呼び起こされる。
いろんなメタファーを考案しておこう!
★★★★★+気象学の世界
・ライフハックの奥を知りたい方
・ライフハックの思想を考えたい方
・メタファー大好きという方