誰かの役にたてることを感じる喜び・・・
----------------------------------------------------------------------
●今日の一冊:【スローなユビキタスライフ】
天と地と人がつながるIT技術を夢見て
--------------------------------------------
|関根千佳/著
|地湧社|2005年08月
|ISBN:4885031850|1,200円|189P
--------------------------------------------
<本のひらめき>
空想の町「高布町(たかふちょう)」を舞台に、201X年のユビキタス情報
社会を描いた素敵な物語である。
アイヌ語で「橋」という意味をもつルイカという情報端末。開発したのは、世
界的に有能な科学者、香成(かなる)。CANAL(運河)に由来する名前だ。
ルイカという人に優しい端末が、未来のユビキタス社会において、どのような
役割を果たすのか。どんな思想でつくられたものなのか。さまざまなものが繋
がれていく不思議な世界は、東洋思想にもつながる不思議な感覚を呼び覚ます。
高齢化社会、リストラ、ひきこもり・・・さまざまな問題を抱える人間たちが
ほんとうに望むべきものは何か・・・そういうことを考えさせてくれる。
ユビキタスというのは、もともと「(神は)あらゆるところに存在する」とい
うラテン語が語源だとか。
心をうつ物語の展開は、涙をこらえきれない。
IT小説で涙を・・・? まさかと思うかもしれないけれど、本当の話。
私たちが大いなるものに見守られている・・・そんなことを感じさせてくれる。
ユビキタスとは、すべてが繋がっていることであり、
あらゆるもの、そこにあるものが、宇宙であり神であり、
大地も自然も人もみなかけがえのない命の営みなのだ
ということのように思えてくる。
そこはかとない感情の機微が見事に描かれ、ゆっくりと味わって読みたい本。
超~おすすめ!
ちなみにこの本は、「やおよろずプロジェクト」 http://www.8mg.jp/ から
うまれた本である。
<僕の思いつき>
この本も、実はある方からいただいたもの。五十川さんというブックコンシェ
ルジェの素敵な方である。この本に登場する「遼子さん」のような方である。
http://d.hatena.ne.jp/coccola/
五十川さんはこの本を大量に買い求め、友人にプレゼントしているんだとか。
読み終えて、その気持ちがとってもよくわかった。
僕も、大切な人にいっぱいプレゼントしちゃおっと!
著者は、もとIBMにお勤めで、現在ユーディットというユニバーサルデザイ
ン研究所を運営されている。 http://www.udit.jp/
お逢いしたい人がまた増えた。http://www.udit.jp/company/sekine.html
うーん、小説を書いてみたくなったなぁ。
(そういえば、湯田中さんや大徳寺さんは、その後どうなったんだろう? 笑)
----------------------------------------------------------------------
<オススメ度>
★★★★★+やおよろず
<読んで欲しい方>
・IT社会に心を入れ込みたい方
・素敵な未来をのぞいてみたい方
・誰かの役にたつ喜びを知った方