いのうえひさし・・・のようなおかしさ。
今日の本は、オンブックという新しい出版スタイルから生まれた本である。著者のイトヒロさんは、現在、脳腫瘍を患って二年ほど入院生活をしている方である。これまでずーっと草野球にまみれて(年間70試合ほど)きたのに、それができない。ベッドに横たわりながら書いたのがこの本。
見る夢は草野球のことばかり。そんなイトヒロさんは、対戦相手やチームメイトのことを、面白ろおかしく描き出している。
どこか、いのうえひさし氏の文章を彷彿とさせる、軽快でクスリと笑えるところが好感だ。(電車の中で、かなり腹筋をゆするはめになった:ククク)
著者は、僕と同年代の人。だから草野球は、ほんとに草の匂いのする草野球。叢にまぎれたボールを捜すほうが、試合の時間より長い・・そんなのどかな時代が確かにあった。
今の子供達には、そういう自由な環境がないという。確かに。子どもだけで勝手に野球ができる環境はどこにもない。大人がグランドを予約し、監督やコーチがいて・・・。いいようなよくないような・・。
さて、本書は、いろんな選手が登場する。円月打法の「動物」と呼ばれた人、「いかん投法」「すまん投法」のピッチャー、ボールの持ち方を知らなかった魔球のピッチャーなどなど、見開き2ページほどに収まる文章に、草野球の楽しさと人間味あふれるユーモアがいっぱい詰まっている。
野球好きな方もそうでない方も楽しめる一冊。
この本は、オンブック(デメ研の橘川さん主宰)で発行された新しいスタイルの出版である。詳しくは → http://www.onbook.jp/
きのう、その橘川さんのアジト(笑)にいってきた。まさにいろんなMoso企画が生まれそうなそのアジトは、独特の雰囲気がただよう・・・。
出版は、ビジネスのためにあるのか、それとも世の中に送り出したいコンテンツのためにあるのか・・・そんなところから、オンブックの問いは始まる。
このコンテンツは、世に出るべきだ・・・そういうものをメキキしながら、著者を応援する仕組み・・・それがオンブックにはあった。すばらしい。
ここから、何かが始まりそう・・・
それはともあれ、今日の本は、なんだか心がホッコリするおかしさと、草野球の匂いがする本だったなぁ。
★★★★☆+匂い芳し草野球
・草野球大好きという方
・子どものように遊びたい方
・親しい友達を描きたい方