このビミョウなラインがなんとも・・・
実にバカバカしい本である。しかし、そこになんとなく不思議的な香を感じるのである。あやうい刺激を感じるのである。
この本は、雑誌「広告」に2004年から連載されている企画を書籍にしたものである。世の中にある曖昧な境界線はどこか、探してみようという企画だ。
たとえば「太平洋と日本海の境界線は」とか「ベテランの境界線は」とか「東京の郊外はどこからか」など、そういえば・・・それってどこに線引きができるかなぁーと、思わず思考が宙を舞いそうなテーマがいっぱいある。
そして、それをしごく真面目にかつ不真面目に取り組む姿勢が面白い。
連載第一回のネタは、「太平洋と日本海の境界線」で、境界線引き隊の面々はなんと、それを確かめるために自腹で函館まで飛んだという。笑
そこには明らかな境界線などないのだが、彼らは病みつきになってしまう。
境界線という名の、目に見えないボーダーを追い求めるバカバカしさ
に。ところが線引き隊は、なんでも境界線をはっきりさせたいというオタクかといえば、むしろ逆。曖昧なものが好きだという。彼らはこういう。
少し大げさにいえば、曖昧さの奥にある、隠された意図、香ばしい嘘、
深すぎる人間の性を知ることができる。そのことが、私たちの境界線
への興味を与え続けている。
・・・と、まぁ、なんて哲学的な。こういうバカバカしさと深みっぽさと持つ不可思議なノリが、僕は、たまらなく好きだ。
あなたもちょっと、境界線をさまよってみる?
これは、まさに・・・あの人のテイストである。はい、石黒謙吾さんだねー。なんと雑誌連載第一回の直後に、書籍化の提案を石黒さんと井上さんからもらったという。速い!さすがブルーオレンジスタジアム(石黒さんのオフィス)。
よのなかや日常にあることを、ふと視線をずらして考えてみる。できれば、ふふっと笑いたくなるようなことを考える。3回つづけてそれを言葉に凝縮してみる。・・・なーんてやったら、けっこう脳みそが活性化するかも。
へんなゲームにあやつられるよりも、ずんといい刺激があると思うけどなー。
★★★★☆+線引き隊
・好奇心旺盛な方
・好奇心が鈍くなったかなという方
・好奇心を刺激したい方