未来は、君達がつくる・・・
フューチャリストとは「未来学者」。本書は、「ウエブ進化論」の梅田望夫さんと、脳科学者の茂木健一郎さんが、ウエブ2.0の時代の先にある未来を熱く語りあた対談本である。
ものごとのどこにフォーカスを当てるか・・・というのは、重要である。二人とも、現在進行形の今やこれからの未来社会の「明るい部分」に焦点をあてている。もちろん、暗い部分や腹立たしい部分を無視しているわけではないが、どこか楽天的、どこか性善説的・・・なところが心地よい。
人間の欲求、グーグルの進化、技術的革新、ウィズダム・オブ・クラウズ・・・さまざまなテーマで語られている。エスタブリッシュメントへの反目とか、体制批判とかではなく、それらを超えて、あるいは共存して、ウエブの世界はどんどん進化し、世界中の人が幸せになる・・・そんな進化の方向性の上に対談している。
梅田さんは、グーグルでの検索をそれほど多用していないという。(へぇ)どうしてるかというと、その道のプロ500人くらいに注目して、その人(のウエブ)から情報を得ているという。膨大な検索結果からチョイスするのではなく、すでにあるていどふるいに掛けられ、すこし先の未来をも包含した情報を斟酌している・・・というスタイルだ。なるほどー。
後半、梅田さん(中学校)、茂木さん(大学)での特別授業が収録されている。とてもいいメッセージがある。
消化不良になりそうなくらい、いろんなものが混ざり合って、楽しい一冊。
ネット社会に対する表現がそれぞれ面白い言葉を使っていて楽しい。
茂木さん:ネットはセレンディピティ(偶然の出会い)を促進するエンジン
梅田さん:インターネットの成り立ちのところに、他利性、ボランティア精神
的なものがかかわっている。
4つめのリンゴの話は、刺激的。
最初は、アダムとイブのリンゴ、次はニュートンのリンゴ、アップルが3つめ。
そして4つめが・・・(茂木さんがジャケットの下にリンゴ柄のTシャツを着ていた)笑。
負のモチベーション、という話が登場する。ハーバードビジネスレビューに登場した話で、リナックスのサーバーへの侵入が食い止められるプロセスと、トヨタの関連企業アイシン精機(刈谷市)の火災復旧の話が比較されている。ハーバードでは、ふたつの事例はその自発的な活動という点では「酷似している」と分析しているが、梅田さんは違うのでは・・と新しい視点を紹介する。
企業では、評価に影響するかもしれないという恐れや、ビジネスの将来に影響するという想い=負のモチベーションがあったが、リナックスは、まったく異なるところから動いている。それは、自発的使命感であり、楽しさである・・
というもの。これ、いたく同感。
天外さんがいっていたような、新しいマネジメントスタイルに近いものが、そこにはあるような気がする。
しかし、この本、テンコ盛りの内容ですなぁ~。
★★★★★+偶有性
・ウエブ2.0時代の先を考えたい方
・脳に刺激が欲しい方
・時代の先を覗きたい方