本書には「感性価値」という言葉が何度も登場する。感性価値とは何か・・・。
それは、「何かの方法で、お客さんの感性に響き、お客さんの心をつかむことで生まれる価値」のこと。これを、計画的に戦略的に作り出せれば、売上げは期待を超えるものになる・・・。
そのためのマーケティングの実践的方法を本書は、実に小気味よく紹介している。
感性価値が生まれた瞬間。私たちも日常でふとそんな瞬間を体験している。たとえば、スーパーに並んだりんご。りんごと値段表だけあれば、「あ、そうか」で終わるが、そこに生産者の写真や思いのメッセージがあり、ふと読んでみたら、なんだか買ってみたくなった・・・。そんな時である。
大事なことは
1)人の感性と行動に着目すること
2)お客さんの心の中に新たな価値を生み出すこと
3)売り手の領域全体、つまりサプライチェーン全体で取り組むこと
である。ただ、キャッチーなPOPを作ればOKというわけではない。
面白い事例にゼリア新薬の便秘薬がある。ウィズワンという商品で、ずっと売上げが3億円だったのが、99年に導入した感性マーケティングで売上げが5倍に跳ね上がる。それまで「植物性便秘薬」というコピーで売っていたのを、大阪支店で「うんちどっさり」というやや過激なコピーを使った。うんちのキャラクターも用意した。そこからどんどん売上げが伸び・・・それこそドッサリ売上げとなったのである。この状況は他社のシェアを奪ったのではなく、ダイエットにもいいかしら・・・という新たな市場を生み出していたという。
お客さんが、ある情報を知ったとき、そこに「そうだったのか!」とか「それいいね」が生まれるとき、感性に響いた価値が生まれる。そんな工夫と実践が本書には、これでもか・・・というほとたくさん登場する。
エモーション・ド・テロワールというワイン、ある居酒屋での「すごいビール」、耳の欠けたネコの貯金箱、おむすびの十石・・・などなど。
お客さんの心に何か新たな価値の発見を生むこと、お客さんとの関係性という新たな資本を構築すること、お客さんの感性を育成すること、お客さんの感性に関するナレッジの共有など・・・たくさんの気づきに満ちた内容がある。
感性ナレッジマネジメントでは、リッツ・カールトンの事例が登場する。お客さまの感性プロファイリングをしておくといろんなアイデアや提案ができる。そんな事例だ。
本書を読むと、自分の心の中に弾けるものがいっぱいあるのが感じられる。
超オススメ!
商品の価値の伝え方はいろいろだ。多くのいい商品があるにもかかわらず、あーモッタイナイ・・というのがたくさんある。
自社のそういう商品を本書の提唱する感性マーケティングで、ブレークさせるMoso会議をやってみよう!
それをきっかけに、社内で本格的に感性マーケティング活動を進めるときの留意点も本書には書かれている。つまり、社内の巻き込み方、である。
実は、ここが微妙に難しいことが多い。浮いてしまったり、ついてくる人がいなかったり・・・。そうなると、「うちの連中は頭が固いから・・・」とかの愚痴になる。
「やや公式な形で活動」とか「社内のノリはS字カーブと心得る」など、いいヒントがある。
Mosoから、Kosoへ、KosoからKodoへ・・・
あー・・・仕事が楽しくなって気だぞ~
★★★★★+うん○どっさり!
・あ、これが欲しかった!という体験がある方
・うちの商品、もっと売れないかなーという方
・感性という言葉にピンときた方